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福岡市西区下山門の産婦人科クリニック。吉永産婦人科医院です。

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治療方針policy&FAQ

医療トピックス Medical Topics

  • 2018.12.27 風疹急増に関する緊急情報(続報)  

    国立感染症研究所は2018年度の風疹患者数が2454人(12月5日現在)と発表し、全国的に感染が拡大していることから 注意を呼びかけています。都道府県別に見ると、東京、神奈川、千葉、埼玉の首都圏に次いて福岡県は全国5位となっており、12月3日から12月9日までの1週間に県内では14件の感染報告があがっています。これから年末年始の時期は帰省などで人の動きが活発になり感染の拡大が懸念されるため、より一層の注意が必要です。

    風疹は免疫のない妊婦が妊娠初期に感染すると胎児に先天的風疹症候群(CRS)という重篤な障害を引き起こします。
    風疹ウイルスは感染力が強いため、先天的風疹症候群の発生を防ぐには妊婦への感染を防止することが重要であり、
    将来妊娠を希望する女性はもちろん、パートナーや家族、職場などが一緒になって風疹対策をする必要があります。

    風疹のワクチン接種状況は生まれた年によって異なり、30~50代の男性は風疹の抗体価が低い方が2割程度存在すると言われています。過去に風疹にかかったことがあると考えている人の中には、実際にかかったのは麻疹などの別の病気だったということもあります。
    また、感染しても症状が出ない場合が15~30%程度あると言われており、自分の抗体価を正しく知ることが重要です。
    風疹にかかったかどうかや、ワクチンを受けたことがあるかあいまいな場合は、まず風疹抗体検査で抗体価をご確認いただきますようよろしくお願いします。

    ※ 医師会臨床検査センターだより(No.2018-03 2018年12月25日)より引用
    ※ 詳細は、ここクリック!! 厚生労働省ウェブサイト(風しんについて) 
  • 2018.11.29 胎内でアレルギー予防

    マウスで成功母にぜんそく薬成分

    国立成育医療研究センターなどの研究チームは、重いぜんそく患者向けの薬の成分を妊婦に投与すると 生まれてくる子どものアレルギー発症を予防できる可能性があると発表した。マウスの実験で確かめ、論文が米学会誌で紹介された。
    人間の胎児や新生児には、ぜんそくやアトピー性皮膚炎などの原因物質「免疫グロブリンE(IgE)」を大量に作る特殊な細胞がある。チームは、IgEを抑えるぜんそく用の薬の成分が胎盤を通じて胎児に移ることに着目した。
    妊娠中のマウスに薬の成分を2回注射すると、子どものマウスの体内では生後6週間以上、IgEが作られなかった。
    薬の成分が特殊な細胞を死滅させた可能性が高いという。

    チームによると、国民の3人に1人に何らかのアレルギーがあり、患者は増加傾向という。
    乳児はアトピー性皮膚炎を発症すると、食物アレルギーなどを次々と発症しやすくなる。
    治療は主に対症療法しかない。チームは数年以内に臨床応用を目指す。

    日本アレルギー学会元理事長の西間 三馨さんけい ・国立病院機構福岡病院名誉院長の話「動物実験とはいえ、画期的な成果だ。薬の成分は重症のぜんそく患者で有効性と安全性が確認されており、臨床応用を進めるべきだ」

    ※ 読売新聞 2018年11月28日付より引用
  • 2018.11.08 体外受精が児の高血圧リスクに 

    スイス・Bern University HospitalのEmrush Rexhaj氏らは、体外受精や顕微受精、卵子・精子・受精卵の凍結保存などを行う生殖補助医療(ART)によって生まれた児は高血圧を発症するリスクが高いと、J Am Coll Cardiol(2018;72:1275-1277)に発表した。

    5年で高血圧に進展

    1978年に英国で世界初の体外受精児が誕生して以来、ARTは自然妊娠がかなわない多くの人に恩恵をもたらしてきたが、ARTで生まれた児は、健康でも早期から血管の老化が見られるとの報告が相次いでいる。

    そこで研究グループは、ARTによって生まれた健康な子供54人(平均年齢16歳)と年齢および性を一致させた男女43人(対照)を対象に、24時間自由行動下血圧測定(ABPM)を実施。さらに、血管内皮機能や動脈の硬化度、血管壁の肥厚についても評価した。

    その結果、ARTによって生まれた児は、上腕動脈の血流依存性血管拡張反応(FMD)が低下し、脈波伝播速度(PWV)および頸動脈内膜中膜複合体厚(IMT)は増加。早期からの血管老化が継続していた。

    24時間自由行動下での血圧は、対照的に比べART群で高かった(収縮期圧:119.8±9.1mmHg vs. 115.7±7.0mmHg、P=0.03、拡張期血圧:71.4±6.1mmHg vs. 69.1±4.2mmHg、P=0.02)。また、高血圧の診断基準となる130/80mmHg以上に達していたのは、対照群では1人だけだったのに対し、ART群では8人に上った(P=0.041)。

    わずか5年で血圧に差が生じたことについて、Rexhaj氏らは「ARTにより生まれた子供に早期から生じる血管老化は、
    心血管疾患のリスク因子がない明らかに健康な子供においても持続し、それが高血圧に進展するようだ」と結論付けている。

    ※ Medical Tribune 2018年10月18日より引用(一部改変)
  • 2018.11.06 最近の経口避妊薬でも卵巣がんリスク減  

    現在広く使用されている低用量エストロゲンと新しいタイプのプロゲストーゲンが配合された経口避妊薬でも、長期的な卵巣がんリスクの低減効果が期待できる。
    英・University of AberdeenのLisa Iversen氏らが行ったデンマークの大規模前向きコホート研究で、ホルモン剤が含まれる避妊薬の使用によって生殖年齢の女性の卵巣がんを21%予防できることが推定されたとBMJ(2018;362:k3609)に発表された。

    対象は15~49歳の女性約190万人

    これまで、高用量のエストロゲンと古いタイプのプロゲストーゲンが配合された経口避妊薬を使用する女性で卵巣がんリスクの低下が認められたという複数の研究結果が報告されていた。

    今回、Iversen氏らはデンマーク国民の処方データ及びがん登録データを用いて、現在広く使用されている避妊薬(低用量エストロゲンとデソゲストレルやゲストデンなどの新しいタイプのプロゲストーゲンの配合剤、またはプロゲストーゲンのみを含有する避妊薬)が全体的および種類別の卵巣がんリスクに及ぼす影響について検討した。

    解析対象は、1995~2014年に15~49歳であったデンマーク人女性187万9、227人。
    1995年以降の移住者やがんおよび静脈血栓症の既往例、不妊治療歴がある例は除外した。
    対象をホルモン剤が含まれる避妊薬の使用歴により①使用歴なし②現在使用中または最近まで使用(使用中止後1年以内)
    ③過去に使用歴があり(使用中止から1年以上経過)に分類した。
    なお、使用された避妊薬の大半(86%)が低用量エストロゲンとプロゲストーゲンの配合剤だった。

    使用期間長いほどリスク減

    年齢や経産回数、教育レベル、多嚢胞性卵巣症候群の既往などを調整し解析した結果、卵巣がんの発症率はホルモン剤が含まれる避妊薬の使用歴がない女性で10万人・年当たり7.5例と最も高かった。一方、ホルモン剤が含まれる避妊薬の使用歴がある女性では10万人・年当たり3.2例で、使用歴がない女性と比べて卵巣がんリスクが低かった。

    ホルモン剤が含まれる避妊薬を現在使用中または最近まで使用していた女性における卵巣がんリスクは、使用期間が長くなるほど低下した。プロゲストーゲンのみを含有する経口避妊薬を使用していた女性では卵巣がんリスクの有意な低下は認められなかったが、使用者数が極めて少なく、効果の検出力に限界があった。

    ※ Medical Tribune 2018年10月18日より引用(一部改変)
  • 2018.07.30 予防接種の徹底を

    予防できる病気は徹底的に

    住江会長はあいさつで、「予防できる病気は徹底的に予防する努力をすべきだ」と述べ、予防接種の重要性を強調した。定期接種の接種率にも言及し、100%に近い数字でないと感染症の流行を抑えられないとし、今後も接種率の向上を含めたワクチン行政の改善を求めていくと話した。

    集団免疫で麻しん感染を防ぐ

    SSPE青空の会のメンバーは、突然発症する亜急性硬化性全脳炎(SSPE)の恐ろしさを訴えた。

    亜急性硬化性全脳炎は麻しんに感染後、麻しんウイルスが数年から十数年潜伏期間を経て発症する。
    麻しんワクチンは麻しん風しん混合(MR)ワクチンとして1歳で初回の定期接種を行うが、亜急性硬化性全脳炎の患者の多くは1歳未満で麻しんに罹患したことが原因で発症している。
    定期接種までの間に麻しんに感染しないためには、集団免疫により守るしか方法はない。
    日本は2015年にWHOから麻しん排除の認定を受けているが、東南アジアやヨーロッパ等の国々から麻しんウイルスが持ち込まれる事例が増えている。
    繰り返される感染症の流行には予防接種による集団免疫の獲得が重要で、ワクチン接種率が低い年代に対する予防接種の援助や接種率を高める施策が国には求められる。

    ※ 全国保険医新聞 2018年7月25日 第2759号より引用(一部改変)

    ※ 参考
    ① 福岡市では、5月29日以降県内においては、6月4日以降新たな麻しん患者は発生しておらず、6月6日の最終接触者の発生後、4週間が経過したことから7月4日24時を以て福岡市における感染拡大の終息宣言が出されています。
    ② 母体が麻しん、風しんのワクチンをしていれば、児がワクチン接種出来ない期間には母乳により児に麻しん、風しんの感染に対する免疫が与えられます。
  • 2018.07.23 たばこへの曝露で性器HPV感染症リスク増 

    ※ 参考
    性器HPV感染症は性器組織の細胞に悪性化の変化が起こっていればウイルスのタイプによっては癌の引き金になります。自身の喫煙だけでなく受動喫煙も含め、たばこへの曝露は性器ヒトパピローマウイルス(HPV)感染症のリスクを高めると、米国のグループがObstet Gynecolの7月号に発表した。

    同グループは、2009~14年に2年間3サイクルのNational Health and Nutrition Examination Surveyに参加した18~59歳の成人女性のうち、血清と自己採取した子宮頚部・腟スワブが得られた5,158例を対象に、たばこへの曝露と高リスク性器HPV感染症との関係を後ろ向きに検討した。血清コチニン値を最近のたばこへの曝露のバイオマーカーとした。
    5,158例中2,778例が非喫煙者、1,109例が受動喫煙者、1,271例が喫煙者であった。HPV感染症の有病率はたばこへの曝露の有無で有意に異なり、高リスク性器HPV感染症が認められた患者の割合は喫煙群32.1%、受動喫煙群が26.1%非喫煙群が15.1%だった(P<0.001)。

    人口統計学的属性と生涯の性的パートナー数を調整後の非喫煙者に対する高リスク性器HPV感染症のオッズ比は、喫煙群1.7(95%CI 1.4~22.0)、受動喫煙群が1.4(同1.1~1.8)で、ともに有意に高かった(P<0.001)。

    ※ Medical Tribune 2018年7月18日 Vol.51 No.15より引用(一部改変)
  • 2018.07.23 2型糖尿病が女性の腎細胞がんリスクに関係する可能性 

    2型糖尿病が女性の腎細胞がん(RCC)発症リスクと関係する可能性があることを示す研究結果が、米国のグループによりDiabetes Careの7月号に発表された。

    同グループは、Nurses'Health Study(NHS)の参加女性11万7,570例とHealth Professionals Follow-up Study(HPFS)の参加男性4万8,866例をそれぞれ1976年および1986年から2014年まで追跡し、2型糖尿病と病理学的に確認されたRCCとの関係を検討した。

    RCC病例はNHSでは38年間の追跡で418例(うち死亡120例)、HPFSでは28年間の追跡で302例(同87例)確認された。

    解析の結果、2型糖尿病の女性は非2型糖尿病の女性に比べてRCCリスクが有意に高く(多変量ハザード比1.53、95%CI 1.14~2.04)、この関係は糖尿病罹病期間が5年超(同1.22 0.84~1.78)に比べて5年以下(同2.15 1.44~3.23)で強かった(差P=0.03)。男性では2型糖尿病とRCCリスクに有意な関係は認められなかった(同0.89 0.56~1.41)。

    ※ Medical Tribune 2018年7月18日 Vol.51 No.15より引用
  • 2018.05.07 思春期の子宮内膜症が片頭痛に関係する可能性 

    思春期の子宮内膜症患者は片頭痛の有病率が高いと、米国のグループがFertil sterilの4月号に発表した。

    同グループは、進行中のコホート研究Women's Health Study:From Adolescence to Adulthoodで、外科的に診断された思春期の子宮内膜症患者の片頭痛有病率を、子宮内膜症がない対照と比較する横断研究を行った。
    片頭痛の診断は自己報告に基づいた。11段階の痛みの評価スケール(NRS)により、片頭痛と非月経時の骨盤痛の重症度を評価した。

    その結果、片頭痛の経験頻度は対照群の30.7%に対し、
    子宮内膜症群では69.3%と有意に高かった(多変量オッズ比4.77、95%CI2.53~9.02)。
    片頭痛のNRSが1段階上昇するごとに、子宮内膜症の有病率は22%増加した(同1.22、1.03~1.44、傾向性のP=0.02)。
    子宮内膜症患者では、初経年齢が片頭痛と逆相関関係を示した。
    子宮内膜症と片頭痛の合併患者は、片頭痛がない子宮内膜症よりも月経困難症の頻度が高かった。

    ※ Medical Tribune 2018年5月3日 より引用
  • 2018.04.09 HPVワクチン接種再開を呼びかけ 

    日本産婦人科医会/日本産婦人科学会

    日本産婦人科医会は2018年3月14日、定期接種の積極的勧奨が中止されているヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンについて勧奨の再開を目指して草の根的な活動を展開する意向であることを表明した。
    日本産婦人科学会も2018年3月12日に、公式サイトでHPVワクチン接種は必要との見解を示している。

    各都道府県で市民公開講座を展開

    同医会常務理事の鈴木光明氏は、最新医学データを示しつつ、がん検診だけでは子宮頸がん対策として不十分であり、HPVワクチンの接種が必要であると説明。HPVワクチンを導入したことで子宮頸部の高度病変が有意に減少したデータやワクチン接種をしていない女性でもHPV感染率が下がる集団免疫効果があることを提示。
    また、副反応が疑われている病状とHPVワクチン接種との間に関連性を見いだせなかったとする名古屋市での調査結果なども紹介した。

    同医会会長木下勝之氏は「HPVワクチンの有効性に関する科学的事実が国内外からデータとして示されているにもかかわらず、積極的勧奨は中止されたままであり、政治的な問題で動かなくなっている。ワクチンの接種を受ける若い女性と保護者から再開の要望が出ることが望ましい。当事者に対して地道にワクチンの有効性を訴えていきたい」と述べた。

    同会長は産婦人科医と一般市民への啓発、厚生労働省への働きかけなどの活動を進めていく方針だ。
    まずは、各都道府県で市民公開講座を展開することにしており、第1弾として4月22日に埼玉県で開催する予定。

    「科学的見地に立って接種は必要」

    一方、日本産婦人科学会は2018年3月12日、公式サイトで一般向けの情報ページ「子宮頸がんとHPVワクチンに関する正しい理解のために」を公開した。子宮頸がんの発生機序や治療などの基礎知識、国内外におけるHPVワクチンの状況及び安全性の評価について解説。世界保健機関(WHO)が「HPVワクチンは極めて安全である」との結論を下しているとし、厚労省の専門部会においても「慢性疼痛や運動障害などHPVワクチン接種後に報告された“多様な症状”とHPVワクチンとの因果関係を示す根拠は報告されておらず、これらは機能性身体症状と考えられる」との見解を発表していることを紹介した。

    さらに同学会はHPVワクチンに対する見解として「先進国の中でわが国においてのみ将来多くの女性が子宮頸がんで子宮を失ったり命を落としたりするという不利益が生じないためには、科学的見地に立ってHPVワクチン接種は必要」と主張した。

    ※ Medical Tribune 2018年4月5日 Vol.51 No.8より引用(一部改変)
  • 2018.02.13 子宮頸がん予防ワクチンに関する厚生労働省の情報提供について 

    ・HPV ワクチンの接種を検討している お子様と保護者の方へ
      ➡ こちらへ

    ・HPVワクチンを受ける お子様と保護者の方へ
      ➡ こちらへ
  • 2018.02.05 妊婦へのワクチン接種は児のインフルを予防 

    生後6カ月未満児はインフルエンザ重症化の高リスク群だが、ワクチン接種の適応がない。
    また、米国予防接種諮問委員会(US-ACIP)、世界保健機関(WHO)のポジションペーパーでは妊婦への同ワクチン接種が推奨されているが、出生児への効果に関する報告は限られている。
    そこで、大阪市立大学大学院公衆衛生学教室准教授の大藤さとこ氏らは大阪産婦人科医会の協力を得て、母親の同ワクチン接種による生後6カ月未満児への予防効果を検討。
    その結果、母親のワクチン接種は児の罹患リスクを有意に低下させることを報告した。

    「入院あり」では児の診療録と照合

    対象は、2013/14インフルエンザシーズン開始前(2013年10~12月)に大阪府下で出生した生後6カ月未満児3,441例。
    登録時およびシーズン終了後に実施した母親への質問票に基づいて、児のインフルエンザ診断および同感染による入院から、母親のインフルエンザワクチン接種が児の予防効果に及ぼす影響を検討した。

    登録時の質問内容は、母親の年齢、基礎疾患、同シーズンのインフルエンザワクチン接種の有無で、シーズン終了後については児の特性(出生月、在胎週数、出生児体重、通園状況)および母親の特徴(2013/14インフルエンザシーズンのワクチン接種およびインフルエンザ罹患の有無)とした。
    またシーズン終了後に「児の入院あり」との回答があった場合、入院先の医療機関に問い合わせ、診療録と照合し、児の特性および母親の特性(過去の分娩歴)を調査した。

    母親の接種時期と児の出生月が関連

    ワクチンを接種していた母親の特徴として、平均年齢が有意に高いことが示された〔非接種者(2,101例)の31.6歳に対し、妊娠中の接種者(943例)が32.9歳、出産後の接種者(397例)が32.9歳、P<0.01〕。

    児の特徴については、母親のワクチン接種時期と児の出生月に関連が見られ、妊娠中の接種者では12月生まれの児が多く、出産後の接種者では10月生まれの児が有意に多かった。一方、非接種者では低体重(2,500g未満)、先天異常の割合が有意に高かった(各P<0.01)。
    これらを含む因子で調整し、母親のワクチン接種が児の予防効果に及ぼす影響を検討した。

    母親の罹患で児の診断リスクが有意に上昇

    インフルエンザの診断を受けた児は全体の2%(71例)であった。
    非接種者の児に対する妊娠中および出産後の接種者における児のインフルエンザ診断のオッズ比(OR)は、0.42と有意に低かった(95%CI0.22~0.78、P<0.01、表)。
    母親が妊娠中にワクチンを接種した場合は、児の診断リスクの低下が特に顕著であった。

    一方、出産後に母親がワクチンを接種した場合、児のインフルエンザ診断リスクは低下していたものの、出産後にワクチン接種を受けた母親が少なかったこともあり有意差を認めるには至らなかった(OR0.47、95%CI0.17~1.28、P=0.14)。母親がインフルエンザに罹患した児では、診断リスクが有意に高く、年上の兄弟がいると約2~3倍有意に高まることも分かった。

    入院リスクは有意差なし

    インフルエンザにより入院した児は0.4%(13例)に見られた。児の入院リスクについては、ワクチン接種者で低い傾向が見られた。インフルエンザに罹患した母親では、児の入院リスクが有意に高く、年上の兄弟が2人以上いる場合も有意なリスク上昇が見られた。

    大藤氏は、妊娠中にインフルエンザワクチンを接種した場合の有効性のメカニズムとして、児に抗体が移行する移行抗体と児への二次感染予防の2点を挙げた。出産後にワクチンを接種した場合のメカニズムは後者のみとなる。

    以上を踏まえ、同氏は妊娠中のワクチン接種の重要性を強調
    しかし、妊娠中にワクチン接種を受けられなくても、出産後にワクチン接種を受けることで児の診断リスクが低下した今回の結果を受け、出産後の接種についても有効性が示唆されたことを念頭に置いてほしいと呼びかけた。

    <表> 母親のインフルエンザワクチン接種が児の診断に及ぼす影響(大藤さとこ氏提供)


    ※ Medical Tribune 2018年1月18日 Vol.51 No.36より引用(一部改変)

    <参考> 
    1.インフルエンザの家族内感染源の1位が乳幼児、2位が父親になっている。
    2.乳児の6カ月未満はインフルエンザワクチン非接種なので乳児自身の感染予防できないし、また乳児が家族に感染させるリスクが最も高い。
    3.仕事で外出し多数の人に接触する機会が多い父親は、感染しても発病しない時期には乳幼児に感染させるリスクが高い。
  • 2018.02.01 閉経後HR(ホルモン受容体)陽性乳がん 乳がん術後の内分泌治療は7年で十分 

    閉経後のホルモン受容体陽性早期乳がんで、5年間の術後治療を終了後、アロマターゼ阻害薬(AI)のアナストロゾール(閉経後乳癌治療薬)を2年間追加投与する群と5年間追加投与する群を比較した第Ⅲ相ランダム化比較試験の結果(ABCSG-16)から、両群で予後は変わらない一方で、アナストロゾールの5年間追加投与により骨折リスクが増加することが示された。オーストリア・Medical University of ViennaのMichael Gnant氏が報告した。

    10年では骨折リスクが増加

    閉経後ホルモン受容体陽性乳がんに対して、AIを含む術後5年間の治療は複数の臨床試験によって有効性が確立されており、日本乳癌学会の「乳癌治療ガイドライン」においてもグレードAで推奨されている。
    一方、再発の約半数は術後5年以降に起きることが報告されていることから、5年間の術後治療終了後の追加内分泌療法の有効性が検討されている。

    ABCSG-16試験では、2004年2月~10年6月にオーストリアの71施設で登録された閉経後のホルモン受容体陽性早期乳がん患者3,484例を、手術±放射線療法後に5年間の術後内分泌療法を行い、さらにアナストロゾールによる治療を2年間行う(計7年間の術後療法、AI追加2年)群と同治療5年間行う(計10年間の術後療法、AI追加5年)群にランダムに割り付けた。5年間の術後ホルモン療法は、タモキシフェンのみ、AIのみ、タモキシフェン+AI併用療法のいずれかとされた。

    主要評価項目は無病生存率(DFS)で、副次評価項目は全生存期間(OS)、対側乳がんの発症までの時間、骨折、有害事象などであった。

    今回発表されたのは、2016年6月30日をデータカットオフ日とした結果である。解析対象のうち、757例(22%)でDFSイベントが発生しており、うちAI追加2年群は377例、AI追加5年群は380例であった。

    検討の結果、OSおよび対側乳がん発症までの期間に両群で有意差は認められなかった。
    一方、骨折については、ランダム化後の3~5年で発生が最も多く認められ、骨折発生率はAI追加2年群に比べてAI追加5年群で1.35倍高かった

    Gnant氏は「今回の試験結果から、多くの患者ではAIの追加投与は2年で十分であることが示唆された。この知見は直ちに実臨床に反映すべきだ」と指摘。またAI追加投与による有害事象は、骨折の他に、ホットフラッシュ、関節痛、性的機能不全、脱毛なども認められることから、同氏は「この結果は、現在不要な副作用で苦しんでいる世界中の多くの女性を救うことにもなりうる」と述べている。

    ※ Medical Tribune 2017年12月28日 Vol.50 No.36より引用(一部改変)
  • 2018.01.30 感染症とワクチンの状況及び課題を解説 

    日本ワクチン学会の招請を受け、特別講演の演者を務めたワクチン研究の第一人者である米・Johns Hopkins Bloomberg School of public HealthのStanley A.Plokin氏は、各感染症に対するワクチンを紹介するとともに、現在の課題や今後の研究の方向性について広範に解説した。
    同氏は風疹ワクチンをはじめさまざまなワクチン開発に貢献している。
    著書の「Plotkin's Vaccines」は感染症や公衆衛生に携わる多くの関係者に読まれている。

    インフルエンザワクチン
    HAのstalkを標的とした開発に期待
    インフルエンザワクチンの課題は循環(流行)ウイルスの型が変わりやすいことである。
    ワクチンの有効性を高めるためにB型株の混合やウイルス表面のヘマグルチニン(HA)の量を増やすことが既に行われているが、現在のインフルエンザワクチンの有効性はせいぜい中等度である。

    そこで、これまで以上に有効性を高める方法としてPlotkin氏は、MF-59またはAS01のようなアジュバントの改良およびノイラミニダーゼの添加、保存エピトープ(NP、M2e、stalk)、DNAやRNA、ベクターを用いたプライムブーストなどの開発を挙げた。HAの茎の部分に当たるstalkはHAのサブタイプにかかわらず共通しているため、HAのhead(頭)を残すキラメでなく、stalkのみを残す方法でワクチン製造が可能となれば、インフルエンザの最重要課題である流行ウイルスの変化への対応が期待できる。

    HIVワクチン
    ADCC活性の誘導により良好な試験成績
    HIVについては、長年ワクチン開発が研究されているが、いまだに成功していない
    ウイルス亜型のバリエーションが極端に多く、クレード(clade)の中にまたクレードがあること、中和抗体の形成が遅いこと、粘膜部位からの播種が24~72時間以内と速いことなどが課題とされる。

    HIVワクチンの試験で唯一成功したのはカナリア痘(ウイルス)ベクターを使ったタイの報告(2004~10年)のみで、約30%の有効性を示した理由として、抗体依存性の細胞障害(ADCC)活性の誘導が挙げられる。ADCC抗体はさまざまなウイルス株と交叉反応する。
    例えば、インフルエンザに感染するとADCC抗体が誘導されるが、ワクチン接種のみでは活性化されない。
    Plotokin氏は、こうした非中和抗体(nNAb)はシンドビス、デング、ロタ、リンパ球性脈絡髄膜炎といったウイルスなどでも求められると述べた。

    ヒトパピローマウイルスワクチン
    予防だけでなく治療効果も
    ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンの予防効果は、子宮頸がん99%、尖圭コンジローマ(生殖器疣贅)99%、外陰部がん98%腟がん100%と報告されている。また同ワクチンによる治療効果が報告されており、HPV-16型、18型E6およびE7蛋白を標的とする合成DNAワクチンにより組織病理学的病変の退縮およびHPVウイルスの除去が示された。(図2)

    求められる新たなアジュバント開発

    最後に今後の展望としてPlotkin氏は「妊婦へのRSウイルスやB群連鎖球菌、B群髄膜炎ワクチンも可能になるだろう」と述べ、さらに新しいアジュバントの開発が必要だと強調した。
    また、ワクチン開発の手法としてさまざまなゲノムからのアプローチが採用されることも指摘した。

    ※ Medical Tribune 2017年12月28日 Vol.50 No.36より引用(一部改変)
  • 2016.11.18 健診受診推進週間について 

    福岡市では、今年度より毎月1日~7日を「健診受診推進週間」と設定し、家庭や職場、地域において集中的に健診受診の声かけ運動を進め、健診受診の重要性を認識し、受診行動につながるよう、関係機関のご協力を得ながら、広報を行っています。
    健診につきましては、福岡市国民健康保険の特定健康診査(愛称:「よかドック」、以下、特定健診)をはじめ、がん検診や歯科節目健診などについて、市民の健康づくりのきっかけとなるよう、関係機関と連携し、受診啓発に取り組んでおります。

    ○がん検診の受診率の状況
    福岡市では、職場等で受診する機会がない福岡市民を対象に、各種がん検診を実施しておりますが、福岡市医師会において実施しているがん検診の平成27年度の受診率につきましては、国の目標値の胃がん、大腸がんの当面40%、子宮がん、乳がんの50%とは、かい離があり、継続的な広報・啓発に取り組んでいます。
     平成27年度受診状況
    胃がん 大腸がん 子宮頸がん 乳がん 前立腺がん
    受診者数 38,397 41,057 52,207 23,539 13,284
    受診率 9.5% 11.2% 33.3% 20.2% 13.1%
     ※ 受診者数・受診率は、国の統計(対象年齢70歳未満)とは異なります。

    女性のがんにつきましては、国が実施している特定の年齢を対象とした検診費用が無料になるクーポン券の配布事業により、受診率の向上とがんの早期発見と正しい健康意識の普及・啓発を図っておりますが、平成27年度のクーポン使用率は、子宮頸がん検診が10.2%、乳がん検診が13.4%にとどまっております。
    平成28年度も福岡市では、検診対象初年度の年齢の女性に無料クーポンを配布しておりますので、この機会に確実に受診してもらえるよう、市政だより、市ホームページをはじめ、女性向けのフリーペーパーに掲載するなどの広報を行っております。

     ○平成28年度無料クーポン対象者 (福岡市民で下記に該当する女性)
     【子宮頸がん無料クーポン】20歳 (H 7.4.2~H 8.4.1生まれ)
     【乳がん無料クーポン】  40歳 (S50.4.2~S51.4.1生まれ)

    ※ 福岡市医報 2016年6月号より引用(一部改変)
  • 2016.06.17 自分の型知り、乳がん検診 

    自治体が行う乳がん検診のマンモグラフィー(乳房エックス線撮影)で、異常が見えにくい「高濃度乳腺」について、読売新聞の調査に答えた自治体の7割で受診者に知らせていないことがわかった。検診で行われるマンモグラフィー、超音波検査、視触診には、それぞれに利点と弱点がある。受診者は年齢や乳房のタイプごとに適した検査を選んで受けることが大切だ。

    マンモグラフィー弱点も

    日本女性の乳がん発症は、40~50歳代がピーク。こうした実態を踏まえ、乳がん検診は、40歳以上の女性が2年に1度受けるよう、国によって推奨されている。自治体検診に関する国の指針は、マンモグラフィーのみを実施項目に定めている。手に触れない微小ながんや、がんとの関連を否定できないカルシウム沈着(石灰化)の発見に威力を発揮する。受診によって死亡率を減らせることが判明している唯一の検診法だ。

    ただし、マンモグラフィーには弱点もある。乳房は〈1〉高濃度〈2〉不均一高濃度〈3〉乳腺散在〈4〉脂肪性の4タイプがあり、順番に乳腺組織の密度が薄くなる。乳腺の密度が濃いタイプの乳房を持つ人は、乳房全体が白く写ってしまうため、マンモグラフィー単独では、異常の有無を完全に判定するのが難しい。
    専門家によって見解は分かれるが、「不均一高濃度」と「高濃度」を合わせたマンモグラフィーが向かないタイプは、日本女性の5~8割に上ると指摘されている。

     超音波併用で発見率1.5倍

    相良病院付属ブレストセンター(鹿児島市)放射線科の戸崎光宏部長は「乳がんと診断された患者のなかで、検診でマンモグラフィーを受けていたのに見落とされたと思われる人が、20人に1人程度いる印象だ」と話す。
    マンモグラフィーの弱点をカバーするのが超音波検査だ。乳腺の組織が白っぽく写り、がんのしこりを黒く写し出すため、乳腺密度が濃い乳房にも適している。放射線 被曝ひばく もない。
    マンモグラフィーとの併用で40歳代の早期がんの発見率が1.5倍に高まることが国の大規模研究で分かっている。

    一部自治体は、40歳代以降の検診に超音波を組み込み、両方を受けられる制度を整えている。
    30歳代にも乳がん検診を行う自治体が増えてきたが、若年層は乳腺が発達していてマンモグラフィーに不向きなため、超音波で対応している。

    しかし、超音波は、死亡率の減少効果がまだ明らかではなく、国が推奨する検診法になっていない。
    形や大きさの違う乳房に手動の機器を当て、撮影部位をその場で判断する手法のため、技師の技量に左右される。
    がんの疑いを多く見つけてしまい、精密検査で異常がないとわかるケースが増え、受診者の心身に負担をかけることがあるとの指摘もある。

    厚生労働省の「がん検診のあり方に関する検討会」では、自治体の検診に超音波を導入することも視野に入れ、議論が行われてきた。関係学会などでつくるNPO法人「日本乳がん検診精度管理中央機構」も超音波の導入を見据え、
     既に3,000人の技師への養成講習を済ませているという。

    マンモグラフィーが万能ではないことを多くの受診者は知らない。
    一方で、40歳代以降の検診に超音波が導入されるのは、まだ先になりそうだ。
    この間、受診者には、まず自分の乳房のタイプを知ることから始めてほしい。
    自治体の多くは、マンモグラフィーが向かない人に、その事実を伝えていない。
    国と自治体は、受診者の目線に立ち、正しい情報提供の方法を早急に検討すべきだ。

    ◇ 読売新聞が全国の政令指定都市、県庁所在地など、主要な131自治体に乳がん検診の実態について調査を行ったところ、回答の7割が、高濃度乳腺について受診者に注意を促す仕組みがないと答えた。
    電話や郵送による通知や、超音波検診の併用で、対応している自治体もあった。

    自治体の検診メニュー調べよう

    受診者は乳がん検診をどう受ければいいだろうか。まずがん検診には、自治体が行う検診と、人間ドックなどの任意型検診がある。自治体の検診は、国や自治体が費用を負担し、受診者は無料または一部負担で済む。早期発見のため、個人が選んで受ける任意型は1万円程度かかる。

    検診対象ではない20歳代は、乳房のしこりや分泌物など、気になる症状があった時に、乳腺専門のクリニックなどを受診すればいい。多くの場合は良性と診断される。多くの自治体の乳がん検診は40歳から。
    ただ近年、住民の要望を受け、30歳代への検診として超音波検査だけを提供する自治体も増えてきた。
    心配な人は、居住する市町村の検診メニューを調べてみよう。該当する検診がない場合は、任意型検診を自費で受けることになる。

    40歳以上にもマンモグラフィーに加え、超音波を実施する自治体が一部出ている。
    マンモグラフィーに異常が見えにくいタイプがあることは事実だが、超音波だけでは検診として十分ではない。
    マンモグラフィーで、自分の乳房が「高濃度」なのか「脂肪性」なのかを知ることが大切だ。その上で超音波を受けるかどうか決める。

    マンモグラフィーが向かない「高濃度乳腺」とわかった場合、結果通知の際に教えてくれる自治体が一部ある。
    結果票に「高濃度乳腺で見えにくいタイプ」「マンモグラフィーだけでは判定できない」などの記載があれば、
    自治体の担当課の保健師にどうすればよいか尋ねてみよう。

    また、自治体が指定する医療機関で受ける検診では、医師が結果を説明してくれる場合がある。
    そうした機会に、自分の乳房のタイプを聞いてみよう。医師の手元には、受診者の乳腺密度の程度がわかるデータがそろっている。見えにくいタイプであることがわかったら、超音波を受けた方がいいか、医師に相談する。
    超音波を受ける場合は受診者が費用を支払う必要があることが多い。

    自治体の検診結果で乳房のタイプがわからないならば、一度、乳腺専門クリニックなどで任意型検診を受け、どう対処すればよいか医師に詳しく教えてもらうことも選択肢に入れたい。異常が見えやすい「脂肪性」とわかれば、以後は2年に1度の自治体検診を継続して受ける。乳がんの早期発見には、検診のほかに、定期的に乳房にしこりがないか自分の手でチェックする方法も有効だ。入浴の際などに、しこりや分泌物がないか、まめに確認することを心がけたい。

    ※ 2016年6月15日付 読売新聞記事(医療部・佐々木栄)より引用
  • 2016.06.14 高齢者糖尿病の血糖管理目標発表、HbA1c 7.0%未満~8.5%未満にきめ細かく策定 

    日本糖尿病学会と日本老年医学会は本日(5月20日)、「高齢者糖尿病の血糖コントロール目標」を発表した。
    日常生活動作(ADL)レベル、認知機能、薬物療法の内容などによって7.0%未満~8.5%未満のきめ細かなHbA1c目標値を策定。重症低血糖が危惧される薬剤の使用例では「下限値」も設定された。

    高齢者では高血糖とともに低血糖対策が重要

    高齢者糖尿病の大きな特徴に、低血糖を起こしやすいことがある。
    低血糖は高齢者では転倒・骨折、認知症、うつ病、QOL低下のリスクとなる一方、逆に認知症やうつ病があると、低血糖を起こしやすい。高齢者糖尿病ではHbA1cが高過ぎても低過ぎても、ADLや認知機能が低下するJカーブ現象の存在が認められていることから、合併症防止を目指した高血糖是正とともに低血糖の回避が重要である。

    わが国でも昨年(2015年)4月に、日本糖尿病学会と日本老年医学会が「高齢者糖尿病の治療向上のための合同委員会」を設立。高齢者糖尿病の診療ガイドライン作成のための作業を進めてきたが、今回まず血糖管理目標値を策定し、第59回日本糖尿病学会年次学術集会(5月19~21日)の両学会合同シンポジウム「高齢者の糖尿病治療をどうするか」で公表し、プレス発表も行った。

    インスリン・SU薬使用例では「下限値」設ける

    今回の血糖管理目標は、2013年に日本糖尿病学会が行った熊本宣言を具体化したものといえる。
    同宣言では合併症予防のための目標としてHbAlc 7.0%未満を打ち出すとともに、患者の個別性に配慮することも強調し、 「血糖正常化を目指す際の目標」として同6.0%未満、「治療強化が困難な際の目標」としては同8.0%未満を揚げた。後者は高齢者を意識した値で、今回この目安がより精緻化されたことになる。

    さらに、重病低血糖が危惧される薬剤が使用されている場合には「下限値」も設定された。該当するのは、主にインスリン薬剤とSU薬で、一部のグリニド薬も該当する可能性があるという。低血糖を回避するため、上限値を最大8.5%まで緩和するとともに、下限値を設定したのが大きな特徴だ。管理目標値の設定に薬物療法の内容を加味したのは、欧米の管理指針にはないわが国独自の試みだという。

    なお、この管理指針を活用するためには、ADLや認知機能を簡便に評価する必要があるが、日本老年医学会の公式サイトでは日常診療に有用な情報が掲出されている。

    患者の特徴・
    健康状態
    カテゴリーⅠ カテゴリーⅡ カテゴリーⅢ
    ①認知機能正常
     かつ
    ②ADL自立
    ①軽度認知障害
       ~ 軽度認知症
     または
    ②手段的ADL低下、
      基本的なADL自立
    ①中等度以上の認知症
     または
    ②基本的ADL低下
     または
    ③多くの併存疾患や
      機能障害
    重症低血糖が危惧される薬剤(インスリン薬剤、SU薬、グリニド薬など)の使用  なし 7.0%未満  7.0%未満 8.0%未満
     あり 65歳以上
    75歳未満
    75歳以上 8.0%未満
    (下限7.0%)
    8.5%未満
    (下限7.5%)
    7.5%未満
    (下限6.5%)
    8.0%未満
    (下限7.0%)
     <表> 高齢者糖尿病の血糖のコントロール目標(HbA1c値)

    ※実際の表には多くの注釈が付けられている。詳細は両学会の公式サイトおよび日本糖尿病学会編・著『糖尿病治療ガイド2016-2017』を参照(プレス発表資料)

    ※ 2016年6月2日号(VOL.49 NO.22)Medical Tribune記事より引用及び一部改変
  • 2016.06.13 乳がん判別困難例伝えず 「高濃度乳腺」自治体の7割 131自治体調査 

    査 自治体の乳がん検診で行われる※マンモグラフィーで乳房のタイプによっては異常が見えにくいにもかかわらず、「異常なし」と受診者に通知されるケースが多いことが分かった。読売新聞が主要な131自治体にアンケートした結果、回答の約7割が、異常が見えにくい乳房のタイプを通知する仕組みがないとした。受診者に、異常が全くないと誤解させる心配がある。専門家は「見えない場合に受診者が超音波検査などを受けられるよう通知をルール化すべきだ」と指摘している。マンモグラフィーでは、がんの疑いがある白い影の有無を医師が判定する。
    検診結果について、国は自治体に「要精密検査」「異常なし」のいずれかで結果を伝えるよう指針で定めている。

    マンモグラフィー(乳房エックス線撮影)
    乳房を板状のプレートで薄くのばしてはさみ、撮影する。国の指針では、40歳以上の女性を対象に2年に1回、問診と併せた実施を推奨している。超音波検査は指針で推奨されていない。検診は、個人が希望して自費で人間ドックなどで受ける任意型もある。


    マンモグラフィー異常写りにくく

    マンモグラフィーでは、がんの疑いがある白い影の有無を医師が判定。検診結果について、国は自治体に「要精密検査」「異常なし」のいずれかで結果を伝えるよう指針で定めている。しかし乳腺の密度が濃い「高濃度乳腺」ではマンモグラフィーの画像で乳房全体が白く写り、異常の有無がわかりにくい。判別が困難でも「異常なし」と判定されてしまう。

    読売新聞は、政令指定都市、県庁所在地、中核市、中核市に準じる施行時特例市、東京23区の131自治体に3月、アンケートを実施。金沢市、愛知県春日井市、三重県四日市市の3市を除く128自治体から回答を得た。

    94自治体は高濃度乳腺を通知する仕組みがないと答えた。集団検診では、結果を郵送などで通知しているが、結果票には「異常なし」とのみ記載されるのが一般的。これ以外に、指定の医療機関で受ける個別検診などで「医師が結果を伝える際に詳しく説明している」とする自治体もあった。

    一方、埼玉県所沢市、大分市など8市では、文書や電話で高濃度乳腺であることを伝え、注意を促していた。9自治体では40歳以上に対し、見えにくい乳房でも異常見つけられる超音波検査を隔年で実施していた。

    がん検診は国と自治体が費用の一部または全額を負担している。
    厚生労働省がん・疾病対策課は「高濃度乳腺への対応は今後、検討が必要な課題の一つと認識している」と話す。

    相良病院付属ブレストセンター(鹿児島市)放射線科の戸崎光宏部長は「検診では、乳房のタイプを必ず判定している。
    自治体は、受診者に不利益にならない通知の方法を早急に作るべきだ」と指摘している。

    国内では毎年、新たに約9万人が乳がんと診断される。専門家によると、日本の女性の半数以上が乳腺の密度が濃く、
     マンモグラフィーだけでは異常を見つけにくいタイプだという。


    乳がん検診 国指針通知義務なし 自治体独自ルール化「困難」

    乳がん検診のマンモグラフィー(乳房エックス線撮影)について、多くの自治体では、国が示す形式に従い、異常が見えにくい乳房のタイプでも「異常なし」とだけ受診者に通知していた。
    一方、見えにくいタイプであることを受診者に伝えている一部自治体は「早期発見の機会を奪うことがないように」と理由を説明する。

    「国の指針は、マンモグラフィーで見えにくい乳房について、通知するよう定めていない。
    問題は認識しているが、市が独自に動いて通知をルール化するのは難しい」。関東のある自治体の担当者は、こう説明する。

    マンモグラフィーでは、乳腺組織が白く写し出される。がんのしこりも同じく白く写るため、乳腺の密度が濃い「高濃度乳腺」の人は、しこりが隠れて、判別できなくなる。こうした乳房では、超音波検査を行うと、異常を判別しやすい

    国もこの問題を認識。7万人に行った大規模調査で昨年、マンモグラフィーに超音波を併用すると、早期がんの発見率が1.5倍になることが確認されており、自治体検診への導入も検討されている。
    だが、技師の養成や体制整備の費用などの課題があり、実施はまだ先になりそうだ。

    約10年前から高濃度乳腺の受診者に通知している兵庫県姫路市の担当者は「マンモグラフィーだけでは判別不可能なケースに『異常なし』とだけ通知するのは心苦しい」と、個別対応を行ってきた背景を説明する。

    埼玉県所沢市は、昨年度から通知を始めた。見えにくいタイプと分かった場合、結果票に「高濃度乳腺のため、超音波検査を受けてください」と印字。担当者は「通知を受けた市民の8~9割から、問い合わせの電話がある」と話す。

    がん見逃す恐れ 情報提供が必要

    マンモグラフィーで異常が見えにくい乳房のタイプについて、米国では、通知を法令で義務付けた州が半数を超えている

    専門家は「日本では多くの受診者が見えにくい乳房があることを知らずマンモグラフィーさえ受けておけば安心だと思っている」と指摘する。検診の啓発に携わる乳がん体験者からは、「見落としの恐れのある乳房ならば、はっきり伝えてほしい」との声が上がっている。

    受診者は検診の時、自分の乳房のタイプを尋ね、高濃度乳腺とわかれば、一度、超音波検査を受けておくのが安心だろう。自治体は、住民が検診結果を自身の健康管理に生かせるよう、より良い通知の方法を検討すべきだ。

     ※ 2016年6月12日付 読売新聞記事引用
  • 2015.12.10 バイエル薬品株式会社のミレーナ52mg「月経困難症」に対する保険適用について 

    2014年9月2日付で本剤の薬価基準への収載が行われたことに伴い、「月経困難症」の効能・効果に関し当該制度の対象となる旨の通知が発出され、保険適用になりました。

    当院でもこの度、ミレーナ52mgを月経過多を主訴する人に保険適用で治療することに致しました。
    ミレーナ52mg を使用する前に適用として可能であるのか診察を受けて頂きます。
    同じ症状でも不適当な場合もありますので、ご理解ください。
  • 2015.02.10 HPVワクチン接種はMSや脱髄疾患のリスクと関連せず 

    ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンの接種と多発性硬化症(MS),中枢神経系脱髄疾患の発症リスクとの関連を示唆する研究がこれまでに幾つか報告されている。
    デンマーク・Statens Serum Institut, CopenhagenのNikolai Madrid Scheller氏らは,デンマークとスウェーデンの全国コホート研究の結果をJAMA(2015; 313: 54-61)に発表し,「HPVワクチン接種によってMSおよび他の脱髄疾患の発症リスクは上昇しない」と述べた。

    リスク比は0.95と1.00

    2006年に四価HPVワクチン(ガーダシル),二価HPVワクチン(サーバリックス)が承認されて以来,世界中で1億7,500万を超えるHPVワクチンの接種が行われている。

    Scheller氏らは,デンマーク(2006年10月〜13年7月)およびスウェーデン(2006年10月〜12年12月)の全国登録から10〜44歳の女性コホート398万3,824例を対象に,ワクチン接種期間(接種後2年間)とワクチン非接種期間におけるガーダシルとMS,脱髄疾患の発症リスクとの関連を比較検討。主要評価項目はMSおよび他の脱髄疾患の発症とした。
    全例のうち78万9,082人が試験期間中にガーダシルの接種を受けた(計192万7,581接種)。

    その結果,フォローアップ期間中にMS 4,322例,他の脱髄疾患3,300例の発症が確認され,リスク期間(ワクチン接種期間)では,MS 73例,他の脱髄疾患90例であった。

    MSの粗罹患率は,ワクチン接種期間では10万人年当たり6.12件(95%CI 4.86〜7.69),非接種期間では同21.54件(同20.90〜22.20),調整後のリスク比(RR)は0.95(同0.70〜1.15)であった。
    また,他の脱髄疾患の粗罹患率は,ワクチン接種期間では10万人年当たり7.54件(同6.13〜9.27),非接種期間では同16.14件(同15.58〜16.71),調整後のRRは1.00(同0.80〜1.26)であった。これらの結果から,ガーダシル接種によるMSおよび他の脱髄疾患の発症リスクの上昇は認められなかった。

    ※ 2015年1月29日号(VOL.48 NO.5)Medical Tribune記事より引用及び一部改変
  • 2014.03.24 平成25年度厚生労働科学研究費HTLV-1関連疾患研究領域研究班合同発表会 

    ◆HTLV-1抗体陽性妊婦の乳汁栄養法  短期母乳が最多、次いで人工乳

    ヒトT細胞白血病ウイルス1型(HTLV-1)の感染経路は母子感染が主体であることから,適切な母子感染予防法を確立させることを目的に,2010年11月に全妊婦を対象としたHTLV-1スクリーニング検査が導入された。
    昭和大学小児科教授の板橋家頭夫氏はHTLV-1抗体陽性妊婦からの出生児コホート研究(研究代表者=同氏)の中間報告を行い,「HTLV-1抗体陽性妊婦が選択した乳汁栄養法は,短期母乳(90日以内)が56%と最も多く,次いで人工乳の35%であった」と,平成25年度厚生労働科学研究費HTLV-1関連疾患研究領域研究班合同発表会(2月8日)で述べた。

    出生児のフォローアップが重要

    長期母乳(90日以上)のHTLV-1の母子感染率は15〜20%,人工乳では3.3%である。
    短期母乳や冷凍母乳のHTLV-1の母子感染率は人工乳に匹敵するほど低率ではあるが,いずれも検討された症例数が少ない。

    全国の周産期センターや大学病院などの中核施設では,HTLV-1スクリーニング検査で陽性と判定され,ウェスタンブロット(WB)法による確認検査でHTLV-1抗体陽性あるいは判定保留となった妊婦および出生した児を対象に検討が行われている。なお,判定保留者には遺伝子検査としてポリメラーゼ連鎖反応(PCR)法を行い,出生児には定期的にフォローアップし,児の健康状態や母親の心理状態を評価。その後,3歳時点で抗体検査を行い感染の有無を調べる。乳汁栄養法は人工乳,短期母乳,冷凍母乳から選択してもらうこととしている。

    さらに,2011年に日本産婦人科医会の協力による国内初の実態調査として,HTLV-1抗体陽性者と判定保留者の割合を基に,日本産婦人科医会分娩取り扱い施設の総分娩数101万3,545件の内訳を計算したところ,推定陽性者は1,634人,判定保留者は367人と考えられた。
     
    陽性妊婦が選択した乳汁栄養法は,人工乳35%,短期母乳56%,冷凍母乳7%,長期母乳2%であった。
    判定保留者で現在までにPCR法により陽性が判明したのは63人。
    そのうち,陽性者が選択した乳汁栄養法は短期母乳が64%と最も多く,陰性者では長期母乳が61%であった。
    なお,出生児は3歳になっておらず,母子感染率などの結果は得られていない。

    ◆長崎県の妊婦HTLV-1スクリーニング検査 25年間継続で母子感染予防とATL撲滅に有効

    1987年からヒトT細胞白血病ウイルス1型(HTLV-1)母子感染予防事業に取り組んでいる長崎県では,2011年にはポリメラーゼ連鎖反応(PCR)法を導入した妊婦HTLV-1スクリーニングシステムを確立した。
    長崎大学産婦人科准教授の三浦清徳氏,教授の増崎英明氏らは25年間継続したスクリーニング検査の効果を検証した結果から,「母子感染の予防と成人T細胞白血病(ATL)の撲滅に有効である」と述べた。

    HTLV-1抗体陽性率が0.9%に低下

    同県では,一次検査として粒子凝集法または化学発光酵素免疫測定法を行い,陽性もしくは疑陽性と診断された全検体は同大学病院検査部に集められ,確認検査としてウェスタンブロット(WB)法,判定保留例にはPCR法を行い,陽性もしくは陰性の最終判定をしている。

    現在まで,28万3,334人の妊婦に検査を行い,9,921人が一次検査で陽性もしくは疑陽性と判定,8,418人が陽性と確定診断された。陽性率の年次推移を見ると,1988年の7.2%から2012年には0.9%に低下しており,陽性率が高かった離島地域もそれぞれ4.2%から0.5%に低下した(図)。

    同県では,HTLV-1抗体陽性妊婦の栄養法として人工乳を推奨している。
    1999〜2012年に陽性妊婦が選択した栄養法を見ると,人工乳が69.5%と最も多く,次いで短期母乳16.3%,長期母乳12.3%,人工乳と母乳の併用1.9%の順であった。栄養法の年次推移は,99年には79.1%であった人工乳が2008年には56.6%に低下した。そこで,HTLV-1関連疾患と母子感染予防の意識を高めるために,保健師,助産師,医師を対象にHTLV-1講習会を開催したところ,2012年は人工乳が75.0%まで回復した。

    三浦氏は「陽性妊婦が人工乳を選択しても,その2.4%に母子感染が認められた。したがって,今後は母乳以外の母子感染経路の同定が必要と考えられる。また,妊娠に伴いHTLV-1ウイルス量が増加している可能性があり,ウイルス保有者に妊娠が及ぼす影響を明らかにしたい」と述べた。


    ※ 2014年3月13日号(VOL.47 NO.11)Medical Tribune記事より引用及び一部改変
  • 2014.02.07 子宮頸がん予防ワクチンの取り扱いについて 

    厚生労働省より、通知がありましたのでお知らせします。本件は、同省「厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会」において、子宮頸がん予防ワクチンの取扱いについて審議がなされ、今般、審議結果が示された旨通知があったものです。なお、当該ワクチンにおける積極的な接種勧奨の再会の是非については、引き続き審議することとなっております。

      1月20日に開催 第7回副反応検討部会における子宮頸がん予防(HPV)ワクチンの審議結果(概要)

    子宮頸がん予防ワクチン接種後に副反応として報告された症例、主に広範な疼痛又は運動障害を来した症例について、論点整理を行い、以下のような合意が得られた。

    1. 海外においても同様の症例の報告はあるものの、発症時期、症状・経過等に統一性がなく、
      単一の疾患が起きているものとはできないとして、ワクチンの安全性への懸念とは捉えられていない
    2. 2剤間の比較では、局所の疼痛の報告頻度は、サーバリックスの方が有意に高く見られるものの、
      広範な疼痛又は運動障害には、有意な差はない。
    3. 広範な疼痛又は運動障害を来した症例のうち、関節リウマチやSLE等の既知の自己免疫疾患等と診断されている
      症例については、ワクチンとの因果関係を示すエビデンスは得られていない。
    4. 今回の症状のメカニズムとして、①神経学的疾患、②中毒、③免疫反応、④心身の反応が考えられるが、
      ①から③では説明できず、④心身の反応によるものと考えられる
    5. 子宮頸がん予防ワクチンは局所の疼痛が起きやすいワクチンであり、接種後の局所の疼痛や不安等が心身の
      反応を惹起したきっかけとなったことは否定できないが、接種後1か月以上経過してから発症している
      症例は、接種との因果関係を疑う根拠に乏しい

    6. 心身の反応が慢性に経過する場合は、接種以外の要因が関与している。
    7. リハビリなど身体的なアプローチと心理的アプローチ双方を用いて、集学的な治療により重症化・
      長期化を防ぎ、軽快させていくことが重要
    である。
                 ⇓
    報告書案をとりまとめ、次回以降(次回は2月を予定)、積極的な接種勧奨の再開の是非について改めて審議

                                         厚生労働省通知により引用
  • 2013.06.20 子宮頸がんワクチン 勧められぬ接種困惑広がる 

    子宮頸がんワクチンの接種後に慢性的な体の痛みなどの重い副作用が出ている問題で、厚生労働省は14日、「接種は継続するが、積極的に進めることは一時的に差し控える」と決定、国民に困惑が広がっている。(医療部 高橋圭史、利根川昌紀)

    子宮頸がんワクチンは2010年度から、国が接種を実施する市町村に補助を開始。今年4月からは定期接種になった。
    だが、接種後に体の痛みなどの訴えが相次ぎ、厚労省の有識者検討会は14日、副作用の内容について議論した。

    焦点になったのは原因不明の43例の痛みだった。同省によると、このワクチンは今年3月までに国内で推計328万人が接種を受け、357件の重い副作用報告がある。他のワクチンに比べて著しく多いわけではなく、世界100か国以上で接種されていることから、「接種は継続しても良いのでは」との意見も出た。

    だが、桃井真里子座長(国際医療福祉大副学長)が「慢性的な痛みについては医師も正確に判断できず、的確に情報を伝えられる段階にない。このまま接種を続けていいのか」と問題提起。最後は議決権のある委員の3対2の僅差で、副作用の情報を整理するまでの間、接種を積極的には勧めないと決まった。

    子宮頸がんは、子宮の入り口にできるがんで、厚労省によると、年間約9000人がかかり、約2700人が死亡している。
    ワクチンは、子宮頸がん全体の50%~70%の原因とされる2種類のヒトパピローマウイルス(HPV)の感染を防ぐ。
    このがんの多くは、数年から数十年かけて進行するため、がんの予防効果は証明されていないが、がんになる前の異常は90%以上予防できたとの報告がある。

    世界的にがん検診が有効とされ、欧米では60~80%の受診率だが、日本では3割強と極端に低い。

    さらに検診を受けても見逃しもある。自治医大産婦人科の鈴木光明教授によると、子宮摘出が必要だった患者128人のうち、18人は過去3年以内に検診を受けていた。「検診は有効な手段だが、もれなく発見できるわけではない。
    ワクチンと検診の併用で、より確実に予防できる」と話す。

    桃井座長は「今回の決定は暫定的な措置」と強調する。定期接種のままとしたのは、①希望者に接種の機会を残す②副作用が出た場合、従来通り救済制度を利用できるようにするなどの点を考慮したためだ。

    暫定措置が、いつ解消されるかは不透明。国は、早急に国民の判断材料となる明確な見解を示すべきだ。(医療部 高橋圭史、利根川昌紀)

    ◆各ワクチンの副作用報告件数
    ワクチンの種類 発生率
    (100万接種当たり)
    うち重篤(同)
    子宮頸がん
    (サーバリックス)
    245 43
    子宮頸がん
    (ガーダシル)
    156 33
    ヒブ 64 22
    小児用肺炎球菌 89 28
    不活化ポリオ 24 5
    4種混合 14 4
    日本脳炎 67 26
    インフルエンザ 8 2
    ※ 厚労省の有識者検討会資料より

    米は「接種より検診」

    子宮頸がんワクチンは、英国、オーストラリアでは接種率が80~90%に上るが、米国では、10代の少女が3回の接種を完了した率は約35%と低い。

    米国では2006年の承認以来、けいれん、痛み、疲労などを訴える声が上がり、09年に米疾病対策センター(CDC)が約1万2000件の症状を分析。
    32人が接種後に死亡、神経疾患や自己免疫疾患などの報告もあったが、死亡に一定のパターンがなく、重い障害もほかのワクチンに比べ多くないなどとして「安全性には問題ない」とした。

    だが、インターネットで被害を訴える団体も現れた。ワクチンの治験に関わった米ミズーリ・カンザスシティー大のダイアン・ハーパー教授は「接種後の重い症状は非常にまれにしか起きないが、ワクチンとの因果関係が否定できたわけではない。がんの予防効果は証明できておらず、有効性もはっきりしない」と指摘する。

    子宮頸がん検診を推進するベトナム・アメリカ子宮頸がん予防プロジェクト長のエリック・スーバ医師は「仮にワクチンにがん予防効果があったとしても、定期的に検診を受ければ、ワクチンの上乗せ効果は比較的小さい。接種前に効果と副作用のリスクの説明を十分受けてほしい」とする。(医療部 館林牧子)

    ※ 2013年6月20日 読売新聞引用及び一部改変
  • 2013.05.20 血糖コントロール目標値を改訂、HbA1c値で6.0%、7.0%、8.0%の3段階に集約 

    日本糖尿病学会は5月16日、熊本で開幕した学術集会において、新たな治療目標の評価基準を発表した。
    新基準では、これまで5段階としていた血糖コントロール目標値をHbA1c値の6.0%、7.0%、8.0%の3段階に集約した。
    その上で、治療目標は年齢や罹病期間、臓器障害、低血糖の危険性、ケアのサポート体制などを考慮して、患者ごとに設定するとした。いずれも成人に対しての目標値であるが、妊娠例は対象外としている。6月1日から運用開始する。

    新基準は、HbA1c(NGSP、以下同)値の7.0%未満を「糖尿病合併症抑制のために推奨される治療目標」と定めた。
    これを軸に、6.0%未満を「副作用なく達成可能な場合の理想的な治療目標」とし、さらに8.0%未満を「すべての患者が達成すべき治療目標」と設定した。

    今大会の会長を務める熊本大学の荒木栄一氏は、HbA1c値6.0%未満を「血糖正常化を目指す目標」と指摘。
    適切な食事療法や運動療法だけで達成可能な場合、または薬物療法でも低血糖などの副作用がなく達成可能な場合の目標と説明した。

    HbA1c値7.0%未満については「合併症予防のための目標」であるとし、これに対応する血糖値としては空腹時血糖値130mg/dL未満、食後2時間血糖値180mg/dL未満をおおよその目安とする、と言及した。

    8.0%未満については「治療強化が困難な際の目標」とした。低血糖などの副作用、その他の理由で治療の強化が難しい場合の目標となる。

    熊本宣言2013では、日本糖尿病学会が糖尿病の予防と治療の向上に取り組んでいることを紹介。
    糖尿病を放置すると「眼・腎臓・神経などの合併症」を引き起こすこと、また脳梗塞や心筋梗塞などの動脈硬化症も進行させることを説明。
    その上で、血糖の平均値を反映するHbA1cを7%未満に保つことを呼びかける内容となっている。
    「あなたとあなたの大切な人のために Keep your A1c below 7%」。今後、このキャッチフレーズのもと、新基準の浸透を図っていくことになる。

    ※ 2013年5月16日 日経メディカルオンラインより引用及び一部改変
  • 2013.04.23 体外受精を受けた妊婦は妊娠初期の静脈血栓塞栓症リスクが4倍 

    自然妊娠の女性と比較、肺塞栓症のリスクは7倍

    妊娠中の女性は静脈血栓塞栓症を起こしやすいが、体外受精を受けて妊娠した女性は、自然妊娠の女性よりもさらに静脈血栓塞栓症リスクが上昇していることが、スウェーデンKarolinska研究所のPeter Henriksson氏らの分析で明らかになった。リスク上昇は妊娠初期に顕著で、中期、後期では有意差はなかった。論文は、BMJ誌電子版に2013年1月15日に掲載された。

    これまでにも、体外受精によって妊娠した妊婦と自然妊娠女性の間で、妊娠初期の静脈血栓塞栓症リスクに差があることを示唆した報告はあったが、研究の質は高くなかった。また、これら妊婦において、静脈血栓塞栓症の中でも死亡リスクが高い肺塞栓症のリスクについて比較した研究はなかった。

    そこで、著者らは、同国のデータベースに登録された情報を分析し、体外受精を受けて妊娠した女性の静脈血栓塞栓症リスクと肺塞栓症リスクを、自然妊娠した女性と比較しようと考えた。

    スウェーデンで1990年から2008年に体外受精を受けて第一子を出産した女性2万3498人(年齢の中央値は33歳)を選出。それらの体外受精妊婦と年齢や出産年がマッチするコントロールを、自然妊娠によって第一子を出産した女性の中から1人につき5人まで選出した(コントロールの合計は11万6960人、年齢中央値は33歳)。スウェーデンの患者登録を参照し、ケースとコントロールについて、妊娠中の初回静脈血栓塞栓症罹患の有無を調べた。

    妊娠開始から分娩までの静脈血栓塞栓症罹患は、体外受精群が99人で、罹患率は1000人当たり4.2。
    自然妊娠群では291人、2.5で、体外受精群における有意なリスク上昇を示した。
    静脈血栓塞栓症リスクは妊娠初期に高かった。罹患率は体外受精群が1000人当たり1.5、自然妊娠群は0.3。
    一方、妊娠中期と後期のリスク上昇は有意にならなかった。

    肺塞栓症は、妊娠開始から分娩までの間に、体外受精群の19人と自然妊娠群の70人に発生した。有意差は見られなかった。ただし、妊娠初期に限ると、肺塞栓症を経験した患者は1万人当たり3.0と0.4で、大きなリスク上昇を示した。

    妊婦のBMI高値は静脈血栓塞栓症の危険因子と見なされているため、BMIで層別化したところ、自然妊娠女性ではBMI高値群の静脈血栓塞栓症リスクはBMI正常域群に比べ有意に高かった。注)BMI(体格指数)基準値18.5~24.9
    一方、体外受精妊婦群では、BMIと静脈血栓塞栓症の間に有意な関係は見られなかった(P=0.46)。

    体外受精を受けた女性では妊娠初期に静脈血栓塞栓症のリスクが有意に上昇しており、特にこの期間の肺塞栓症リスクは自然妊娠群の約7倍にもなっていた。「絶対リスク上昇は小さく、1万人当たりにすると肺塞栓症罹患者が2~3人増加するに留まるが、妊婦の死亡につながる危険性があること、また、肺塞栓症は診断が難しいことから、肺塞栓症リスク上昇を念頭に置いて、体外受精を受けた妊娠初期の妊婦の管理を行うことは大切だ」と著者らは述べている。

    ※ 2013年1月30日 日経メディカルオンライン(大西淳子=医学ジャーナリスト訳)より引用及び一部改変
  • 2013.04.12 血清コチニン値で確認した受動喫煙が高血圧と関係 

    血清コチニン値測定で確認された高レベルの受動喫煙と高血圧との間に有意な関係が認められると,米ウェストバージニア大学のグループがHypertensionの2月号に発表した。

    能動喫煙が高血圧と心血管疾患の危険因子であることはよく知られているが、血清コチニン値によって非喫煙者の受動喫煙と高血圧との関係を検討した研究はない。同グループは,2005〜08年の米国国民健康栄養調査の参加者のうち生涯非喫煙者2,889例の血清コチニン値を測定し,高血圧との関係を調べた。対象のうち1,004例が高血圧だった。

    血清コチニン高値と高血圧との間に有意な正の相関関係が認められ、また,血清コチニン高値は収縮期血圧の平均変化と正の相関を示した。一方,拡張期血圧との関係は認められなかった。これらの関係は年齢,性,人種,学歴,飲酒習慣,BMI,HbA1c値,総コレステロール値などとは独立していた。
      
    ※ 2013年2月7日(VOL.46 NO.6)Medical Tribune記事より引用及び一部改変

    ※参考
    喫煙者が屋外で喫煙したとしても、その後閉鎖された空間に非喫煙者が同居すれば、呼気、毛髪、衣服等から受動喫煙と同様に、ニコチンの被ばくを受けていることが臨床データで明らかになっています。
  • 2012.12.17 喫煙は女性の寿命を10年縮める 40歳前の禁煙で死亡リスクを90%超回避可 

    オックスフォード大学(オックスフォード)のRichard Peto教授らが,英国の女性における喫煙の害と禁煙がもたらす便益に関して,過去最大規模の研究を行い,女性喫煙者は寿命が10年以上短くなるが,40歳以前,できればもっと若いうちに禁煙すれば,喫煙継続による死亡リスクの増加を90%超回避でき,30歳以前に禁煙すれば97%超回避できるとLancet(2012; オンライン版)に発表した。

    40歳が分かれ目

    今回の研究はMillion Women Studyの結果に基づいており,1996〜2001年当時,50〜65歳だった女性130万例が研究に登録された。被験者はライフスタイル,医学的要因と社会的要因に関する質問票に回答し,3年後に再調査を受けた。被験者の死亡時には,英国保健サービス(NHS)中央登録所がPeto教授らにその死因とともに死亡通知を送った。最初の研究参加時からの追跡期間は平均12年で,これまでに約6万6,000例が死亡した。

    研究開始時には被験者の20%が喫煙者,28%が元喫煙者,52%が非喫煙者であった。3年後の再調査時にも喫煙者であった者では,その後9年以内に死亡する率が非喫煙者より約3倍(2.97倍)高かった。ただし,この間に禁煙した一部の者ではリスクはそれより低かった。

    約3倍というこの死亡率は,50歳代,60歳代,70歳代の喫煙者の全死亡の3分の2が喫煙によるものであることを意味している。喫煙者と非喫煙者との差の大部分は肺がんや慢性肺疾患,心疾患,脳卒中などの喫煙関連疾患によるものであった。喫煙者のリスクは喫煙量の増加に伴って急増したが,研究開始時に少量(1日1〜9本)だった喫煙者でも死亡率は非喫煙者の2倍であった。

    過小評価していた女性への影響

    今回の知見は,喫煙の害も禁煙で得られる便益も以前の研究結果より大きいことが示されたという点で重要である。30歳以前で禁煙した者では早期死亡リスクの増加が97%超回避できる一方,40歳まで喫煙を続けた者では死亡リスクの増加がさらに数十年にわたって残り,40歳以降も喫煙を続けた者ではリスクが10倍高かった

    Peto教授は「女性が男性のように喫煙すれば男性と同じように死亡するが,男女とも,中年期以前に禁煙すれば寿命が平均で10年取り戻せる」と述べ,「英国,米国とも,1940年前後に生まれた女性が成人後生涯にわたる大量喫煙者の第1世代だった。そのため,長期の喫煙と禁煙が女性の早死に及ぼす影響を直接観察できるようになったのは21世紀になってからである」と付け加えている。

    ミネソタ大学(米ミネソタ州ミネアポリス)のRachel Huxley教授は,同誌の付随コメント(2012; オンライン版)で「先進国の大部分にたばこが広まったのは20世紀半ばであり,そのころ既に蔓延していた習慣が女性にもたらす結果を全て観察するのに,21世紀まで待たなければならなかったというのは,矛盾しているように見えるかもしれない。しかし,欧米では若年女性の喫煙は1960年代にピークを迎え,男性より数十年遅れていた。そのため,これまでの研究では女性の死亡率に対する喫煙の最終的な影響が過小評価されていた。理由は明らかで,女性が若年期に喫煙してから中年期〜高齢期に発症するまでに長い時間のずれがあるからである」と述べている。 

    ※ 2012年12月13日(VOL.45 NO.50)Medical Tribune記事より引用及び一部改変
  • 2012.11.13 30歳前の曝露で乳がんリスクが上昇 

    BRCA1/2変異保有者への診断的胸部放射線照射 30歳前の曝露で乳がんリスクが上昇

    〔ロンドン〕オランダがん研究所(アムステルダム)のFlora E. van Leeuwen教授らは「BRCA1またはBRCA2遺伝子(乳がんと卵巣がんを抑制する遺伝子)に変異がある女性では,30歳前の胸部への診断的放射線照射が,乳がんリスクの上昇と関連する」との研究結果をBMJ(2012; 345: e5660)に発表した。

    変異保有者1,993例を追跡

    一般人口において,放射線曝露は乳がんの確立された危険因子である。一方,BRCA1/2遺伝子に変異がある女性では,放射線感受性が高くなることが研究により示唆されている。BRCA1/2はDNA損傷の修復に関与する遺伝子で,これらが変異していると放射線曝露によって生じたDNA損傷が修復されず,これが感受性を高くする原因と考えられている。そのため若年のBRCA1/2変異保有者では,マンモグラフィの便益は放射線リスクを上回らず,国によっては30歳までマンモグラフィによる検診を受けないよう推奨している。しかし,研究結果は必ずしも一致していなかった。

    そこでvan Leeuwen教授らは今回,オランダ,フランス,英国で2006〜09年に登録されたBRCA1/2変異保有女性1,993例を対象に,診断的放射線照射が乳がんリスクに及ぼす影響を後ろ向きに検討した。最初の乳がんが診断された時点で追跡を終了した。被験者はすべて18歳以上であった。

    同教授らは被験者に対し,胸部一般撮影やマンモグラフィへの曝露の有無,初回曝露年齢,20歳未満,20〜29歳,30〜39歳における曝露回数と最後の曝露年齢について尋ねた。

    乳がんリスクが40%超増加

    1,993例のうち,乳がんを発症した者は848例(43%)。放射線曝露の有無が不明の者を除いて胸部一般撮影を受けた者は919例(48%),マンモグラフィを受けていた者は649例(33%)だった。初回マンモグラフィ受診時の平均年齢は29歳だった。

    解析の結果,診断または検診のため20〜29歳の間に胸部になんらかの放射線曝露を受けた女性では,乳がんリスクが43%高く,20歳前に曝露した女性では,同リスクが62%高いことが明らかになった。30〜39歳の間の曝露については,乳がんリスクとの関連は認められなかった。

    通常,30歳のBRCA1/2変異保有者は,100例当たり9例が40歳までに乳がんを発症する。しかし今回,30歳までに全例がマンモグラフィを受けていた場合,この症例数は5例増加すると推定された。ただし,van Leeuwen教授らは「今回の研究では30歳前にマンモグラフィを受けていた乳がん女性の数が非常に少ないことから,この数については慎重に解釈する必要がある」と述べている。

    同教授らは,今回の結果について「BRCA1/2変異保有者では,30歳前の診断的放射線曝露は乳がんリスクの上昇と関連することが明らかになった。この結果から考えると,同変異保有者に対しては,非電離放射線による画像診断法(MRIなど)の実施が望ましい」と結論付けている。しかし,BRCA1変異保有者とBRCA2変異保有者の乳がんリスクに関して説明が困難な差が認められたため,今後,大規模研究を行って,このような差が実際に存在するか否かを明らかにする必要があるとしている。

    ※ 2012年11月8日(VOL.45 NO.45)Medical Tribune記事より
  • 2012.11.13 2型糖尿病患者の厳格な血圧管理は死亡リスクを高める 

    2型糖尿病患者の厳格な血圧管理は心血管疾患の有無にかかわらず死亡リスクを高めると,英国のグループがBMJの9月22日号に発表した。

    同グループは,1990〜2005年の英国一般診療研究データベースに登録された新規発症2型糖尿病患者12万6,092例を対象に,治療1年目で達成した収縮期血圧(SBP)と拡張期血圧(DBP)の死亡への影響を後ろ向きに検討した。

    心血管疾患(心筋梗塞,脳卒中)の既往者は1万2,379例(9.8%)だった。中央値3.5年の追跡で2万5,495例(20.2%)が死亡した。

    糖尿病診断時の年齢,性,BMI,喫煙習慣,HbA1c値,コレステロール値,血圧などを補正した結果,心血管疾患既往群における厳格な血圧管理(SBP 130mmHg未満,DBP 80mmHg未満)による生存の改善は認められなかった。

    低過ぎる血圧は死亡リスクの上昇と関係し,SBP 130〜139mmHgと比較したSBP 110mmHg未満の死亡ハザード比(HR)は2.79だった(P<0.001)。DBPについても同様で,80〜84mmHgと比較した70〜74mmHgと70mmHg未満のHRは1.32(P=0.04)と1.89(P<0.001)だった。

    この関係は心血管疾患がない群でも同様であった。また,高血圧合併例を対象としたサブ解析でもこの関係が確認された。

    ※ 2012年10月4日(VOL.45 NO.45)Medical Tribune記事より
  • 2012.11.13 子宮頸がん検査にウイルス検査を導入へ 

    厚労省は3日、子宮頸がん検診で、原因ウイルスのDNAが子宮頸部にあるかどうかで感染を調べる「HPV検査」を来年度から導入する方針を固めた。特に発症率が高い30代女性を対象に早期発見を目指す。来年度予算の概算要求に盛り込み、今後導入方法を検討する。HPV検査は細胞診より異常を見つける感度が高く、併用すれば異常や感染のない人は受診の頻度を減らせる。

    ※ 2012/09/04付 朝日新聞朝刊より

    子宮頸がん検診で、細胞診にHPV検査を追加すると、より確実にがんの発症を予測できることが、自治医科大学などのチームが行った併用検診後5年間の経過観察調査で分かり、日本癌学会で発表した。

    ※ 2012/09/25付 朝日新聞朝刊より
  • 2012.04.03 ATL新薬 薬事初承認 5月末にも発売 

    厚生労働省は30日、九州に患者が多い血液がん・成人T細胞白血病(ATL)の治療薬として製薬会社「協和発酵キリン」(東京)が開発した新薬「ポテリジオ」=一般名・モガムリズマブ(遺伝子組み換え)=の製造、販売を正式承認した。再発または難治性のATLに有効性が確認されており、保険適用のための薬価決定を経て早ければ5月末にも発売の見通し。ATLに特化した治療薬の薬事承認は初めて。

    ポテリジオは、がん化した細胞を狙い撃つ新型抗がん剤「分子標的薬」の一種で、抗体医薬と呼ばれる。ATLを引き起こすがん細胞を攻撃する能力が高い「抗CCR4抗体」を独自技術で人工的につくり、点滴で投与する。正常な細胞まで破壊してしまう従来の抗がん剤に比べ、副作用の心配が少ないのも特長という。

    ATLは国内患者数約2千人で有効な治療薬がないため、同省は同薬を「希少疾病用医薬品」に指定。開発費を助成し、通常1年前後かかる審査期間を9カ月に短縮する特例措置を講じてきた。

    ※ 2012/03/31付 西日本新聞朝刊より
  • 2012.02.13 ATLワクチン治療承認 大阪大、国内初 月内にも臨床開始 

    成人T細胞白血病(ATL)を患者自身の免疫力を使って治すワクチン治療の臨床研究の実施を、大阪大の医学倫理委員会が承認したことが10日、大学への取材で分かった。大阪大免疫学フロンティア研究センターと大阪大病院が今月中にも、食道がんや悪性黒色腫などと共に実施する。

    同センターの坂口志文教授によると、ATL患者をワクチンで治療する臨床研究は国内初。

    坂口教授は「体の免疫を利用するので、患者の負担が小さく副作用も少ない。高齢者でも安全で有効な治療法となる可能性がある」としている。

    ATLは免疫に関わる「制御性T細胞」がウイルスにより、がん化。
    感染者の約5%が発症する。感染者は国内で120万人、世界で1千万―2千万人とされる。

    発症すると免疫力が落ち、国内では感染症などで毎年約千人が死亡している。
    平均発症年齢は60歳で、有効な治療法の骨髄移植が高齢のため実施できないことも多い。

    坂口教授と西川博嘉特任准教授らは、患者のうち約6割でみられるがん化したT細胞に特徴的なタンパク質「NY-ESO-1」に着目。通常、がん細胞には免疫が働かないが、このタンパク質をもつT細胞には免疫が働くことを突き止めた

    このタンパク質をワクチンとして接種し、タンパク質を狙って攻撃する免疫細胞を増やす。
    安全性を確認し、治療や予防につなげる方針。

    ※ 2012/02/11付 西日本新聞朝刊より
  • 2012.02.02 ATL新薬発売承認へ 

    厚生労働省薬事・食品衛生審議会医薬品第2部会は1日、九州に患者が多い血液がん・成人T細胞白血病(ATL)の治療薬として製薬会社「協和発酵キリン」(東京)が開発した新薬の製造、販売を承認して差し支えないとの結論をまとめた。再発または難治性のATLに有効性が確認され、同省は「患者の9割に効果が期待できる」としている。年度内にも正式に承認され、薬価決定を経て4月末-5月初めにも発売される見通し。ATLに特化した治療薬の承認は初めて。

    新薬は「ポテリジオ」=一般名・モガムリズマブ(遺伝子組み換え)=で、がん化した細胞を狙い撃つ「分子標的薬」(抗体医薬)としては初のATL治療薬。同社独自の技術で、ATLを引き起こすがん細胞を攻撃する能力が高い「抗CCR4抗体」を人工的につくり、点滴で投与する。

    ATLは国内患者数約2千人で有効な治療薬がなく、同省は新薬を「希少疾病用医薬品」に指定。
    開発費を助成し、通常1年前後かかる審査期間を9カ月に短縮する特例措置をとってきた。

    抗がん剤治療後に症状が再び悪化したATL患者26人に新薬を1週間間隔で計8回投与した治験では、半数の13人に血液中のがん細胞が減ったり、リンパ節の腫瘍が縮小したりするなどの効果が確認され、うち8人は白血病細胞や腫瘍が消滅した。正常な細胞まで破壊してしまう従来の抗がん剤に比べ、副作用は少なく、治験でも発熱や発疹があったが、対症療法で改善できたという。

    ※ 2012/02/02付 西日本新聞朝刊より
  • 2012.01.19 ATL発症 解明に糸口 

    がん細胞悪性化抑える物質特定

    九州に患者が多い血液がんで、白血病の中で最も死亡率が高い成人T細胞白血病(ATL)の発症に、ヒトの細胞に含まれる「マイクロRNA」と呼ばれる物質の一種の減少が影響していることを渡辺俊樹・東京大大学院教授らの研究グループが突き止め、17日付の米学術誌に発表した。ATLはこれまで発症のメカニズムが解明されておらず、有効な治療法も未確立。研究成果を生かし、根治療法の開発が期待される。

    渡辺教授らは、ATLの原因ウイルスHTLV1や関連疾患に詳しい医師がいる医療機関でつくる「HTLV1感染者コホート共同研究班」(JSPFAD)の全面協力で、ATL患者のがん細胞のDNAなどを世界で初めて大規模解析した。

    その結果、細胞内のタンパク質の種類や量を調整する機能を持つマイクロRNAの一種「miR-31」が、すべての患者で著しく減少していることを発見。miR-31には、ATLを引き起こすがん細胞を増殖させたり、死ににくくしたりするタンパク質「NIK」の働きを抑制する機能があり、その量が激減するとNIKが増えて活性化し、がん細胞が不死・悪性化することが分かった。ATL患者の体内にmiR-31を送り込むことで、がん細胞内のNIKを狙い撃ちできることも実験で証明したという。

    ATLは、主に母乳を介して母子感染するHTLV1が原因。国内感染者は推定100万人超で、半数を九州・沖縄在住者が占める。毎年約千人がATLで死亡しており、その多くが発症後半年前後で亡くなっている。

    渡辺教授は「細胞を提供してくれた多くの患者さんと研究者の協力に支えられた成果。miR-31を細胞に送り込むことでATLの根治を目指す、革新的治療法の開発につながる可能性がある」と話している。

    ※ 2012/01/19付 西日本新聞朝刊より
  • 2011.12.22 新型インフルエンザ感染の妊婦は死産、早産のリスクが高い 

    インフルエンザA/H1N1 2009に感染した妊婦の周産期の帰結:英国(UK)全域コホート研究

    英国(UK)全域において、その流行の第2波の時期に当たる2009年9月1日~10年1月31日に、2009/H1N1に感染し入院した妊婦256人を感染コホートとして追跡調査が行われた。そして2005年2月~06年2月に病院で出産した1,220人を対照コホートとして、妊娠の帰結としての児の死産や周産期死亡および早産について感染コホートとの比較が行われた結果、感染コホートでは死産、周産期死亡および早産(妊娠37週未満)または低出生体重のリスクが有意に高かった

    早産で分娩した感染コホートは、満期産で分娩した感染感染コホートに比べ、感染時期が妊娠後期(P=0.046)、集中治療室(ICU)に収容され(P<0.001)、肺炎を続発した(P=0.001)割合が高かった。

    これらの調査結果から、妊婦のインフルエンザ罹患の予防にはワクチン接種が有効であり、まだ本研究での知見から、産まれてくる子のためにもワクチン接種が推奨されるべきであると考えられる。

    ※ 『MMJ 2011年12月号』を改変
  • 2011.12.13 風疹患者が全国最多 11月末現在県内77人、20代が半数 

    県内の風疹患者が今年、77人(11月27日現在)に上り、都道府県別で最も多いことが12日、国立感染研究所の調査で分かった。このうち約7割が福岡市で、20代が半数以上を占めている。風疹患者は春から夏にかけて発生する傾向にあるが、今年は11月に入っても少なくないという。

    県内では過去、風疹患者は2008年25人、09年22人、10年2人だったのが急増。
    福岡市も08年9人、09年13人、10年1人だったのが今年は54人に上っている

    福岡市の場合も、世帯別で20代が29人と最多だった。
    同市は、予防接種法の改正で1995年以降、学校での集団接種が徹底されていなかったのではないかとみている。

    風疹は発熱や発疹、耳の後ろなどのリンパ節が腫れるなどの症状が出る。
    同市は、はしかと風疹の混合予防接種を幼稚園、保育園などの年長児などを対象に無料で実施している。
    問い合わせは同市保健予防課=092(711)4270。

    ※ 2011/12/13付 西日本新聞朝刊より
  • 2011.11.22 喫煙による冠動脈性心疾患リスク 男性より女性で25%高い 

    ミネソタ大学(米ミネソタ州ミネアポリス)疫学科のRachel R. Huxley准教授とジョンズホプキンス大学(米メリーランド州ボルティモア)のMark Woodward博士は「喫煙による冠動脈性心疾患(CHD)リスクの上昇は,男性より女性で25%高い」とのメタアナリシスの結果をLancet(2011; 378: 1297-1305)に発表した。Huxley准教授らによると,女性におけるこの過剰リスクは男性との生理学的な差に起因し,たばこの煙が女性に対し,より強力な有害物質として作用している可能性がある。

    懸念される女性喫煙者の増加

    Huxley准教授らは「喫煙は世界的にCHDの主因の1つで,今後もそうあり続けるだろうと予測する。

    また,女性喫煙者のCHDリスクは,喫煙期間が1年長くなるごとに男性喫煙者より2%ずつ高くなることから,同准教授らは「喫煙者のCHDリスクに見られる性差に病態生理学的基盤があるという考えが支持される。例えば,女性は同じ本数のたばこから,男性と比べてより多くの発がん性物質や他の毒性物質を取り込むのかもしれない。そうだとすれば,女性喫煙者の肺がんリスクが男性喫煙者の2倍であることも説明がつく」と考察。

    禁煙の取り組みでは男女両方を標的に

    喫煙者は女性より男性に多いが,女性喫煙者の方がCHDリスクが高いため,世界,国,個人レベルでの喫煙防止と禁煙の取り組みでは,男女ともターゲットにすることが必須である」と結論付けている。

    ※ 2011年11月17日VOL.44 メディカルトリビューンより抜粋及び一部改変
  • 2011.11.21 2012年春、風疹流行の可能性も 妊婦さんは要注意 

    感染症発生動向調査によると,風疹の報告患者数は2008年の294例から,2009年では147例,2010年では90例と減少していたが,2011年は第41週(10月10~16日)までで327例となっている。国立感染症研究所感染症情報センター第三室の多屋馨子室長は「これまでの風疹の流行パターンを見ると,いったん流行すると3年ほど続き,2年目の患者数が多い」と述べ,2012年春に風疹が再び流行する可能性を指摘している

    成人患者が8割以上を占める

    2011年の風疹累積報告数は第24週(6月13~19日)までに215例となった。これは風疹が全数把握疾患となってから最も報告数が多かった2008年の同週までの累積報告数208例を上回るもので,第24週以降も過去3年間で最も多い報告数で推移している。第1~41週の累積報告数を都道府県別に見ると,福岡県69例,神奈川県62例,大阪府46例,東京都27例などの順であった。患者の年齢は,2008年は0~4歳が最多であったが,2011年は成人が全体の8割以上を占め,特に20~40歳代が多い。男女比では男性が女性の約3倍多い(20~40歳代では約4倍)。

    風疹ウイルスに胎内感染することで生じる先天性風疹症候群(CRS)については,1999年4月から全数把握疾患とされ,2011年8月までに19例が報告された。そのうち母親の予防接種歴が記録で確認されたのは1例のみであった。13例は母親の妊娠中に風疹の罹患歴があり,4例はなかった。

    現在世界的に流行中の遺伝子型は、海外から持ち込まれたウイルスが国内で急速に広がったと考えられる。

    風疹ウィルス抗体価測定調査を実施

    30~40歳代女性のHI抗体保有率は90~95%であったが,30~40歳代男性は70~80%と低かった。なお,2011年の流行はこの年齢層の男性を中心に発生している。20歳代男女の抗体保有率は90~95%前後であった

    わが国のこれまでの風疹の流行は,1年目より2年目で患者数が多いことから,2012年春に風疹患者の増加が懸念される。風疹の流行と先天性風疹症候群の出生を防ぐため,(1)妊婦の夫,子供およびその同居家族への予防接種の勧奨(妊婦への接種は不適当:いわゆる禁忌)(2)定期予防接種(第1期:生後12~24カ月未満,第2期:小学校入学前1年間の幼児,第3期:中学1年生,第4期:高校3年生相当年齢の者)の勧奨強化(3)定期接種対象者以外で風疹予防接種が望まれる者への接種強化〔20歳代(注:10歳代後半は2008年度から定期接種の対象)から40歳代の女性,特に妊娠の希望あるいはその可能性の高い女性,産褥早期の女性,定期接種を受けていない小学生・中学生・高校生・大学生など,職業上の感染リスクが高い者〕—が求められる。

    ※ 2011年11月17日VOL.44 メディカルトリビューンより抜粋及び一部改変
  • 2011.10.28 【HTLV1対策元年】母乳以外の母子感染 長崎の妊婦3万人調査 厚労省、本年度から 

    ●対策先進地 解明目指す

    九州に患者が多い成人T細胞白血病(ATL)や脊髄症(HAM)などの原因ウイルスで主に母乳を介して感染するHTLV1の対策として、厚生労働省が本年度から長崎県で、母乳以外の母子感染ルートを解明するための調査研究を始めることが分かった。母乳をまったく与えなくても感染する例が2―3%あるため。感染者のサポート体制がある対策先進地・長崎県で3万人の妊婦に協力を求め、臍帯血(さいたいけつ)や胎盤などを採取・分析し、有効な感染防止策を探る。

    厚労省によると、増崎英明・長崎大学大学院教授(産婦人科)を班長とする研究班を8月末に設置し、準備を進めている。長崎県は1987年から行政と研究・医療機関が一体となってHTLV1の母子感染予防事業を進めており、増崎教授は県ATLウイルス母子感染防止研究協力事業連絡協議会長も務めている。

    本年度の研究費は2600万円。今後3年間に県内の産婦人科施設でお産をする妊婦計3万人を対象に、調査に同意してくれた人から臍帯血、胎盤、羊水のサンプルなどを採取し、ウイルス量を測定。妊婦健診時の抗体検査で感染が判明し、子どもへの感染が確認された場合、胎内感染や産道感染の可能性を調べる。

    同時に本年度は、87年以降に県内で生まれた妊婦について、次世代感染の有無などを追跡調査。粉ミルクだけで育てる「人工栄養」や生後3カ月までの「短期母乳」など、授乳制限による感染対策の効果や問題点を検証し、検査法を確立する。

    また、子宮収縮がウイルス感染を促進するという説があるため、切迫早産や妊娠高血圧症候群などの妊娠合併症とウイルス量、感染リスクの関連も調べ、授乳制限以外の対策を探るという。

    増崎教授は「他県に比べ感染者の支援体制などが整っている長崎でHTLV1感染の謎を解明し、母子感染を完全に阻止してウイルスを根絶させたい」と話している。

    ※ 2011/10/26付 西日本新聞朝刊より
  • 2011.09.30 風疹流行福岡が最多 全国患者数は昨年の3.5倍 国立感染研調査 

    風疹が全国的に流行し、9月11日までに報告された今年の累計患者数が昨年1年間の3.5倍に達していることが26日、国立感染症研究所の調査で分かった。都道府県別では福岡県が最も多い。厚生労働省は「国がワクチン増産などの緊急対策を打ち出した2004年以来の流行」としている。

    風疹は妊娠初期の妊婦がかかると、重い障害のある先天性風疹症候群の赤ちゃんが生まれる可能性がある。感染者は子どものころの集団予防接種が女子に限定されていた20~40代の男性に集中しており、感染研は「身近に妊婦がいる人で、風疹にかかったこともワクチンを接種したこともない人は、ワクチンを接種した方がいい」と呼び掛けている。

    感染研感染症情報センターによると、医療機関を受診した今年の累計患者数(9月11日現在)は全国で313人。
    年間患者数は08年294人、09年147人、10年90人と減少していたが、一転して急増した。

    都道府県別では①福岡63人②神奈川60人③大阪46人ーの順に多く、福岡以外の九州各県は1~2人。感染研は「福岡に多い理由は不明だが、集団感染ではなくぱらぱらと患者が出ている。感染拡大に注意が必要」としている。

    感染研の7月下旬時点での分析では、患者は男性が女性の約3倍。男性患者の年齢は30代が30%、20代が29%、40代が20%だった。風疹ワクチンの定期接種は1977年に始まり、94年までは女子中学生だけが対象で、94年から1歳の男女に変更された。このため、風疹の免疫がない人は30~50代前半の男性に多いという。ワクチンの接種は、小児科などで数千円で受けられる。

    先天性風疹症候群(CRS)
    妊娠中に母親がかかった風疹の原因ウィルスが胎盤を介して胎児に感染し、新生児に起きる先天異常。心臓奇形や難聴、白内障など、さまざまな症状を起こす。妊娠の早い段階でかかるほど重度で多くの種類の異常がが高い確率で発生する。予防には①妊娠可能な年齢で風疹に免疫がない女性は予防接種を受ける②流行の中心になる子どもにワクチンを接種し、風疹の流行自体を防ぐーなどが有効とされる。

    ※ 2011/09/27付 西日本新聞朝刊より
  • 2011.09.09 日本初の緊急避妊薬「ノルレボ錠」が発売

    2011年5月24日、緊急避妊薬レボノルゲストレル(商品名ノルレボ錠0.75mg)が発売された。
    用法・用量は「性交後72時間以内に1回1.5mg(2錠)経口投与」となっている。保険適用はされない。

    緊急避妊とは、避妊具の装着不備や経口避妊薬の服用忘れなど、避妊措置に失敗した場合や、避妊措置を講じなかった場合に、望まない妊娠を回避するために緊急的に使用するものである。緊急避妊の目的では、1960年代から、高用量のエチニルエストラジオールの経口製剤が使用されてきたが、適応外使用である上、服用により悪心や嘔吐などの副作用が高頻度に発現することが問題となっていた。

    レボノルゲストレルは、黄体ホルモンの一つであり、排卵抑制作用により避妊効果を示すほか、受精阻害作用や受精卵着床阻害作用を有しているとされる。海外の臨床試験では、レボノルゲストレル1.5mgを性交後72時間以内に服用することで妊娠阻止率が84%であったと報告されている。

    なお、レボノルゲストレル単独の製剤としては、2007年発売されたレボノルゲストレル放出子宮内避妊システムのミレーナがある。本製剤は、子宮内避妊用具(IUD)から薬剤が徐々に放出され、5年間の避妊を可能としている。また、経口避妊薬(低用量ピル)の一部には、エチニルエストラジオールとともにレボノルゲストレルが配合されている製品がある。

    レボノルゲストレルの錠剤は、WHOによる緊急避妊の必須医薬品として指定されており、本薬剤による緊急避妊は国際的にも標準な方法として位置づけられている。海外では、1999年4月フランスで承認されて以降、2010年4月現在、欧州、アジア、アフリカなど世界約50カ国で販売されている。日本でも、日本産科婦人科学会などが推奨している。

    国内臨床試験では72.3%に何らかの副作用が認められており、主な副作用は、消退出血(46.2%)、不正子宮出血(13.8%)、頭痛(12.3%)、悪心(9.2%)、倦怠感(7.7%)などであった。

    なお本薬は、あくまでも避妊措置に失敗した場合に緊急的に用いる薬剤であり、コンドームや経口避妊薬のように、計画的に妊娠を回避するためのものでないことに十分留意しておくようにしたい。

    ※ 2011/05/26付 NMオンラインより一部改変
  • 2011.05.31 ATLに発症予防薬 感染リンパ球 死滅 北里大など開発 数年内、薬事承認目指す

    国内に100万人超の感染者がいるウイルスHTLV1が原因で発症する成人T細胞白血病(ATL)の発症予防に有効な薬を、北里大(相模原市)などの研究グループが開発した。感染者を対象にした研究で、ウイルス感染したリンパ球の大幅な減少効果が確認できたという。今後は臨床試験に移り、薬事法に基づく数年内の国の薬事承認を目指す。これまでATL発症を予防する薬はなく、発症の不安に悩まされてきた感染者の安心につながることが期待されそうだ。

    HTLV1は末梢(まっしょう)血にある免疫機能を担うリンパ球に感染し、長期間潜伏してATLを発症させる。
    研究には東京大と慶応大も参加した。

    北里大医学部の堀江良一准教授(血液内科学)によると、この薬は「DHMEQ」という名称。
    感染者16人の協力を得て採取した末梢血に投与したところ、感染リンパ球が平均で約65%、最大約80%減少したという。

    ATLはHTLV1に感染したリンパ球が多いほど発症するリスクが高まるため、感染リンパ球を減らすことが発症予防につながるとされる。今回の研究では、投与したDHMEQが、感染リンパ球の増殖を担うエンジン役のタンパク質「NF-κ(カッパ)B」の動きを止め、感染リンパ球を死滅させる効果が確認された。既に国内外の特許を取得したとしている。

    また、マウスによる動物実験では、がん化したリンパ球を死滅させる効果も確認され、ATL発症後の治療にも一定の有効性が見込まれた。副作用もなかったという。

    DHMEQは点滴注射として使うことを想定しているが、今回の研究でも死滅しないリンパ球があったほか、長期間、継続投与した場合に効果が続くかなど未知数の部分もある。堀江准教授は「治験では感染リンパ球の増減を経過観察しながら、適切な投与方法を見極めることが課題となる」としている。研究グループは、この研究を国の総合対策で新設された厚労科学研究費補助金の「HTLV1関連疾患研究領域」への申請を予定している。

    ※ 2011/05/30付 西日本新聞朝刊より
  • 2011.04.30 【HTLV1対策元年】ATL新薬 承認申請 協和発酵キリン 国、審査短縮の方針

    九州で毎年約500人が死亡している血液がん・成人T細胞白血病(ATL)の治療に有効性がある新薬を開発した製薬会社「協和発酵キリン」(東京)が26日、厚生労働省に製造、販売の承認申請を行った。同省は通常1年前後かかる審査期間を短縮する特例措置を取る方針で、承認されれば2012年初頭にも発売される。

    新薬は「抗CCR4抗体KW-0761」。がん化した細胞だけを狙い撃つ医薬品としては初のATL治療薬。
    現在まで有効な治療薬がなく、早期の製造・販売が期待されていることなどから、同省は、新薬を「希少疾病用医薬品」に指定。優先的に審査するほか開発費も助成する。

    昨年末に26人を対象に行った治験では、半数の13人に血液中のがん細胞が減ったり、リンパ節の腫瘍が縮小したりするなどの効果が確認され、うち8人は白血病細胞や腫瘍が消滅した。正常な細胞まで破壊してしまう従来の抗がん剤に比べ、副作用は少なく、治験でも発熱や発疹があったが、対症療法で改善できたという。

    協和発酵キリンには患者からの問い合わせが相次いでいるといい、厚労省幹部は「できる限り速やかに審査を行いたい」としている。

    ※ 2011/04/27付 西日本新聞朝刊より
  • 2011.04.02 無料検診、伸びぬ利用 子宮頸がん、乳がん 昨年度の九州 10-20%台

    国の補助金を受けて、大半の市町村が2009年度から、特定年齢の女性を対象に実施している子宮頸(けい)がんと乳がんの無料検診事業で、九州の主な自治体の09年度の利用率が10―20%代だったことが、西日本新聞のまとめで分かった。厚生労働省は、どちらについても50%を目標としていたが、大幅に下回った。国と各自治体は本年度も事業を継続しており「完治につながる可能性が高い早期発見のために、ぜひ利用を」と呼び掛けている。

    国内で、乳がんは40代後半を中心に年間4万人が発症、子宮頸がんは20―30代に急増しており年間1万5千人が発症しているとされる。この二つのがん検診は従来、自治体が有料で実施するなどしていたが、国は受診率が低いことを問題視。09年度、経済危機対策の一環で、希望する市町村を事業主体にして無料検診事業をスタートさせた。費用は09年度は国が全額を負担し、本年度は国と市町村が折半。

    対象者は子宮頸がん検診が20、25、30、35、40歳。乳がん検診は40、45、50、55、60歳。
    市町村が対象者全員に検診費用が無料となるクーポン券を送付して、年度内に受診してもらう仕組みだ。

    九州7県の県都と北九州市で、無料検診事業の09年度の利用率は、子宮頸がんの最高が熊本市の約26%で、最低が鹿児島市の約15%。乳がんの最高は熊本市の約25%で、最低が鹿児島市の約12%だった。

    利用率が約17%と約15%だった福岡市は「勤め先の健康保険組合による検診を利用してクーポン券を使用しなかった人もいるかもしれないが、それにしても低い。日本では3人に1人ががんで命を落としている。がんを人ごとと思わないで」と訴えている。

    ※ 2010/10/05付 西日本新聞朝刊より


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